12人の怒れる男

・アメリカのドラマ・映画「十二人の怒れる男」をロシアに置き換えてリメイクした作品。私は原作未視聴。陪審員制度を扱うもので、殺人容疑のチェチェン人の少年が有罪か無罪かを12人の全員一致で決定する話。

・12人それぞれが自分のバックボーンをいちいち披露するなど、長い(159分)作品になっているが、それでもこれは観て良かったと思う。

・最初に無罪を主張した人間も確固たる信念があるというほどでもない。これでいいのか? と言いつつも、もう一度皆が有罪というならそれに従うという程度だった。しかし、そこから弁護士の不備、証拠の不備、証人の信用性、陰謀論と、各人の経験と知識によって真実へと近づいていく過程は面白かった。

・やっぱり冤罪だった! 終わり! 閉廷! 以上みんな解散! で終わらないのがロシアならでは? かもしれない。行き場のなくなったチェチェン人の少年が無罪で放り出されるのがどういうことなのか。それは言われるまで気付かなかった。

・「法には情が入らない、だからロシア人は法を信じない」など、ロシア人にとっての法への価値観が見て取れる。法を守っていれば自分も守られるという実感がない、ということだと解釈する。物語自体も、矛盾をついて論破していくというよりは人情を語り掛け、推察していくものだった。

・法ってなんなんだ? 陪審制はあれど会場は体育館、そして杜撰なパイプ工事、トイレにはドラッグの注射器……お仕着せのルールの上手く行かなさとか、だからってこれを廃止すべきかというとそうでもないとか、悩んでしまう。

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